土地所有の就学への影響:ケニア農村の事例

和⽥ ⼀哉

July 2010

Abstract

教育は、途上国開発において最も重要な政策課題の一つである。ミレニアム開発目標の主要な目標の一つとなっているように教育の促進は人間の生活の質にとって不可欠の要素であるとともに、経済学の観点からはその促進は人的資本の蓄積を意味し、一国の将来の開発や貧困問題を大きく左右する。開発の文脈では、土地の所有は貧困削減に大きく貢献することが期待されるが、農業労働需要を発生させる源でもある。途上国では市場の不完全性が顕著であることが多く、土地の所有は家計の農業労働需要に大きな影響をもたらしうるものとなる。本稿では、特にケニア農村における市場の不完全性を念頭に置き、土地所有が子供の教育にいかなる影響をもたらすかに関して検討を行った。この分析により、市場の不完全性の影響は、子供の年齢あるいは教育水準によって大きく異なることが示唆された。

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