年金財政方式の経済分析:
消費税方式の考察

高畑 純一郎

March 2009

Abstract

年金の議論が盛んになってきているが, その中で特に関心がもたれているのは財政方式の問題である。財政方式には保険料方式3と消費税方式などがあり、それに依存して資源配分が変化する。本研究では、雇用・年金・債券市場に市場の不完備性を組み込んだ動学的一般均衡モデルで、年金保険料の徴収方法によって資源配分がどのようになるかを観察し、どの程度の年金水準が望ましいのか、どちらの財政方式で厚生が高くなるかについて、定常状態で評価した。その結果、いずれの方式でも、公的年金の水準は0%が最適であることが示された。また、一定の規模で年金を実施する場合、消費税方式の方が保険料方式よりも望ましいことが示された。これは、消費税方式での資本蓄積を妨げない効果等が、保険料方式での雇用リスクを和らげる効果等を上回っているためであると考えられる。

Full text

PDF Download (PDF: 672KB)