電子マネーの普及実態としては、全国で電子マネーを保有している世帯は24.4%程度であり、地域別には関東が突出して高く44.3% に達している、利用者は25-49歳の世代が中心であり交通機関の利用に用いる場合が最も多いこと、また電子マネーが決済手段として選択されるのは主として1000 円以下の支払いであることがわかった。さらに、貨幣需要関数を推計した結果、50 円硬貨以下の小額貨幣需要が電子マネーの普及により低下していることが明らかになった。しかしその弾力性は極めて低く、電子マネーが貨幣需要に与える影響は、現在のような急速に利用が拡大している時期でも、限定的であることがわかった。電子マネーは、交通機関の自動改札やコンビニエンスストアで時間節約的な決済などに限らず、高齢化社会で小銭の扱いに煩雑さを感じる老人にとっても利便性の高い決済手段となる可能性は高い。さらに、電子マネーは、小額貨幣の資源節約になったり、価格設定の自由度を広げる意味でも有効な手段でもある。これらの新技術を積極的に利用していくことは望ましいだろう。そのための法制度の整備や会計基準の設定は必要である。また、電子マネーを巡る実態を把握するためには、電子マネー関連の統計を整備し、公開していくことも重要であろう。