インド、パキスタン、バングラデシュにおける
長期農業成長

黒崎卓

March 2010

Abstract

本稿は、インド、パキスタン、バングラデシュ 3 国における農業の成長パフォーマンスを、20世紀初めからの約100年にわたって比較分析した。実証結果からは、(1)1947年の分離独立後にそれまでの長期停滞が持続的成長に変化しており、その変化は 1960年代末以降の「緑の革命」よりも早く生じていること、(2)農地の外延的拡大の貢献は20世紀後半には小さくなり、代わって農地の生産性向上が成長の源泉となったが、その中身も、多期作・多毛作化から作付面積当たりの生産性向上に移行していること、 (3)成長率の水準で3国を比較するとパキスタン農業のパフォーマンスがトップであるが、1947年の分離独立や1971年のバングラデシュ独立の前後で成長率がどう変化したかによって3国を比較するとバングラデシュ農業におけるパフォーマンスの改善が顕著であること、(4)作付面積当たりの生産性向上には、より収益性の高い作物へのシフトというこれまであまり定量的に明らかにされていなかった要因が存在したこと、などが明らかになった。

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