朝鮮総督府の統計制度

李崙碩

March 2011

Abstract

本研究は植民地時代に朝鮮半島を統治していた朝鮮総督府の統計制度と組織、実際の統 計データの問題点を分析し当時の経済成長と行政体制を見直してから、現在の政治経済および社会政策システム改善に取り組む契機につなげたい。

まず時代別特徴としては、朝鮮総督府初期には調査統計機能よりは行政統計が中心であり総務課の内部に文書課を設置し、各部局を通して集合された統計資料を総合的に編集した。一方、人口統計業務に関しては警武総監部長傘下の警務課で担当した。これは当時の憲兵統治の特性を示すことでもある。朝鮮総督府中期に至ると統計課を新設して行政統計業務の独立性を試みたが、以後廃止され調査課または文書課に吸収された。しかし国勢調査課を設置して調査統計業務を遂行したことがこの時期の主要な特徴だといえよう。末期には戦争遂行のために資源調査業務が主な業務になり、戦時情報統制によって統計情報の公開が制限された。

以前の朝鮮政府と対比できる特徴としては、まず朝鮮は統計専門担当部署を独立させるものの、各省庁に配置させる形態を選んだ。しかし朝鮮総督府の場合には各地方に統計主任を配置して収集した情報を中央政府の文書課長が統括することが特徴である。すなわち朝鮮は各地方政府に独立な統計業務を科して分散させる政策を行ったが、朝鮮総督府は中央の総務部で一括管理して統一性を期し統計業務は植民地統治の手段として活用した。

また他の特徴としては報告例制度である。報告例制度は植民地統計制度の基本指針として機能した。このような報告例を利用して分野別調査資料を分析する時には報告例自体の変更と関連調査項目を綿密に検討する必要がある。

Full text

PDF Download (PDF: 979KB)