日本古代における農業生産と経済成⻑:
耕地面積、土地生産性、農業生産量の数量的分析

高島正憲

February 2012 (Revised: August 2012)

Abstract

本稿は、古代日本の経済的柱であった農業生産における諸要素について推計を行い、古代約480年間の長期の経済成長と生活水準を数量的に分析した。具体的には、奈良時代、平安時代前期・後期の各時点について、古代の文献資料から得られた数値データを利用して、田地、畠地毎の耕地面積、土地生産性、農業生産量を推計し、1人あたり農業生産量(石高)について考察した。その結果、(1)農業生産については、古代全体を通じた経済成長の流れが全体としてほぼ定常のゆるやかな成長であったこと、(2)生活水準については、1人あたり石高は非常に低く、農業生産から得られる収入では一般農民の生活は生存することが厳しいものであったこと、が明らかになった。この結果は、古代日本の経済社会は貧弱な農業生産に依存しており、十分な技術発展がなかった当時の状況下てでは、生産のサイクルを維持する以上の発展は見込まれるものではなかったと結論付けられる。

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