マクロ経済変数を分析する時系列モデルとして、時変ベクトル自己回帰(Time-varying VAR)モデルが注目されており、近年、様々な拡張が試みられている。本稿では、このモデルについて解説を行うとともに、モデルの構造および実証研究における最近の展開について概観する。このモデルはマルコフ連鎖モンテカルロ(Markov chain Monte Carlo, MCMC)法を用いてベイズ推定することが多いので、そうした推定方法に関して詳しく説明する。また、日本のマクロデータを用いたモデルの推定結果を紹介するほか、予測精度を基準としたモデル比較を行う。