インドの選挙と投票行動に関する計量分析

森悠子

March 2013

Abstract

本稿では、インドにおける「留保議席制度」および「一票における格差の拡大」が投票行動に与える影響について分析したMori and Kurosaki (2011) およびMori (2012) を中心に政治制度に関連した実証研究を概観した。その際、制度における内生性の問題に対処し、制度が投票行動に与える因果効果を識別するために、回帰不連続設計、差の差推定、固定効果推計といった手法に焦点を当てた。本稿のレビューを通じて、利害対立がある状況では有権者の属性によって制度が異なる効果をもつこと、制度の効果を分析する際に因果関係の識別が重要であることが確認された。今後は、個票データの収集や構造推計などの手法を用いて、どのような経路で制度が有権者の投票行動や利害対立に影響を与えるかについて解明することが期待される。

Full text

PDF Download (PDF: 985KB)