政府出資事業における共同研究開発
—医薬品機構出資事業のケーススタディ—

岡田羊祐
櫛貴仁

March 2013

Abstract

本稿では、産業投資特別会計を通じた厚生労働省所管の「医薬品機構出資事業」について、その出資構成のあり方が共同研究開発を行う事業会社のパフォーマンスに如何なる影響を与えたかを、独自に行ったアンケート調査に基づき分析した。分析結果によれば、(1)事業への政府出資金は民間出資企業の研究開発投資と補完的関係にあること、また、(2)政府出資比率の高い事業ほど出資企業による事業への評価が高かったことが確認できた。しかし一方で、政府出資比率が高い事業会社ほど、特許出願件数が少なくなる傾向があった。これは、政府出資比率が高い事業では、出資企業のみが研究成果を専有化することが困難であったためと推測される。

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