東京23区における固定資産税の新築住宅減額特例が
住宅投資に与えた影響

行武憲史

March 2013

Abstract

市町村での主要な税源である固定資産税は、その負担感のために政治的・政策的なターゲットとされやすく、数多くの特例・軽減措置が存在する。中でも、新築住宅に係る特例措置(新築特例)は大きな割合を占めており、創設から長い歴史を経てきているため、その見直しについての議論も盛んである。

地方分権改革の機運が高まる中、新築特例が実際の住宅投資にどのような影響を与えるか検証することは、市区町村における固定資産税の役割を見直す上でも重要である。本研究では、東京都23区のみで実施された、固定資産税の新築特例が実際に住宅建築を促進したかどうかを検証した。国土交通省「建築着工統計」の住宅着工数や戸当たり面積などについて、東京都の23区をトリートメントグループ、隣接する市部をコントロールグループとしたDifference in Difference分析(DID分析)を行った。その結果、新築特例導入の効果はいずれについても確認することが出来ず、少なくとも東京都が新築特例の目的として挙げた「新築住宅の取得を税制面から支援する」ということには、寄与していない可能性が高いことが示された。

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