October 2008
本稿では、戦前期の韓国鉱業生産を検討することを目的として、主に『朝鮮総督府統計年報』の「鉱産額」統計(1911年~1936年)にみられる数値の検討を行った。併せて、『昭和16年朝鮮鉱業の趨勢』にみられる数値を利用して、従来分析が行われていなかった1937年~1940 年について検討を加えた。
これらの検討は、以下の要領で行われた。
(1)年次データである『朝鮮総督府統計年報』を時系列に組替え、道別、品目別に実効単価(生産金額÷生産数量で計算)を観察することで数値の補間や修正を行った(データクリーニング作業)。製造業の場合と比較すると、「鉱産額」統計では、実効単価は概ね安定して推移しており、補間や修正が必要とされる箇所は少ないことが確認された。
(2)戦後の韓国データとの接続を考慮して、上記作業を行ったデータをもとに、各品目を国際標準産業分類の中分類別に合計し、南北分割を試みた。南北分割を行ったデータからは、戦前期の鉱産物の多くが「朝鮮北部」に偏っていた事実が確認された。
(3)『朝鮮鉱業の趨勢』のデータを用いた1937 年以降の道別名目、実質生産額の推計が行われた。(ただし、『朝鮮鉱業の趨勢』からは、道別、品目別にデータが得られないため、仮推計である。)
(4)解放後の生産統計に接続する試みが実施された。